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片浜どうぶつ病院症例ブログ

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『犬の子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)』症状と治療方法 

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『犬の子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)』症状と治療方法 


子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)


記事の下のほうに刺激の強い画があります。苦手な方は印から下にご注意ください。





その名の通り、子宮内に膿がたまる『雌犬特有』の病気です(猫でも起こりますがここでは犬のお話をします)。膿をためた子宮がパンパンに膨れ上がるため、なにかの拍子に破裂するとお腹の中に膿がもれだして腹膜炎を起こし、最悪の場合、命を失います。治療方法は原則、外科手術でたまった膿ごと卵巣と子宮を取り除くことです。




下の3つの項目が子宮蓄膿症の発症リスクです↓↓





<発症リスク>
①5~7歳以上(平均発症年齢9歳)
②子供を産んだことがない
③生理(発情出血)が終わって、1~3か月後に発症しやすい






実際のところ、若い時に避妊手術をしていない雌犬のほとんど全てにあてはまります。
10頭中に発生するという統計データもあるので、避妊手術をしていない子は、常に気をつける必要があります。





では、この病気に飼い主さんが気づくポイントはどんなことがあるでしょうか?代表的な症状・兆候をあげていきます。





<症状・兆候>

①生理(発情出血)が終わったはずなのに、不正出血が続く。おりものが出る。

②外陰部からの出血、おりものが生理後2ヶ月たったあたりから出始める。

お水をたくさん飲む。1の尿の量が増える。

④お腹が張ってくる。

⑤食欲・元気がなくなる。





特に①、②は危険なサインです。病院への来院をお勧めします。






<検査方法>
超音波検査:卵巣・子宮の状態をみます
血液検査:全身状態の把握
顕微鏡検査:外陰部からのおりものを顕微鏡でみて、ばい菌がたくさんいるかどうかをみます。




<治療方法>
膿をためた子宮を卵巣ごと手術で取り除くことが最善の治療方法です。







↓↓それでは実際の治療例をみていきましょう↓↓


トイ・プードル 14歳 雌

食欲・元気がない。外陰部からの出血とおりものが出るとのことで来院されました。
お水をたくさん飲んで、嘔吐もする。


超音波検査でお腹の中に液体をためて、ふくれあがった子宮があることがわかりました。


手術で卵巣と子宮を取り除き、4日間ほど入院し、退院しました。









☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


















摘出した卵巣子宮です↓↓




犬猫の子宮はY字型で、小型犬の正常な子宮の太さは約1cm未満です。この子は子宮内に膿がたまって、かなり拡張しています(約5cm)。






左右卵巣と子宮の一部に腫瘍を疑う所見があったので病理組織診断を行いました。




その結果、赤まる内の卵巣は卵巣嚢腫(らんそうのうしゅ)といって、ホルモン異常から起きる卵胞の異常でした。
青まる内の卵巣は悪性非上皮性腫瘍との結果が出ました。悪性の腫瘍でしたが、今のところ腫瘍の進行や転移はありません。今後は注意深く定期検査をして、見守っていきます。








子宮蓄膿症の兆候をもう一度!!




<症状・兆候>
①生理(発情出血)が終わったはずなのに、不正出血が続く。おりものが出る。

②外陰部からの出血、おりものが生理後2ヶ月たったあたりから出始める。

お水をたくさん飲む。1の尿の量が増える。

④お腹が張ってくる。

⑤食欲・元気がなくなる。


気になりましたら、すぐにご来院をお願いします。
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