僧帽弁閉鎖不全症（そうぼうべんへいさふぜんしょう）






キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、マルチーズ、、シーズー、ヨークシャテリア、ポメラニアン、チワワなどの
　　　




　　　　　　　小型犬に多い　心臓病です。






病気がみつかる年齢は7歳～13歳くらいが多いです。ただし、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルは若い年齢で発症することがあるので注意が必要です。





ワクチン接種や健康診断のときの聴診で心雑音が聞こえることで診断されることが多い病気です。






心臓の左心房（さしんぼう）と左心室（さしんしつ）を分けている、僧帽弁（そうぼうべん）がなんらかの原因によって閉まりにくくなった状態で、血液の逆流がおきてしまい、心臓に負担がかかる病気です。



突然死のリスクもあり、無治療でいると肺や腎臓にも負担がかかり、肺水腫（はいすいしゅ）といって肺に水がたまっていき呼吸が難しくなっていきます。





〇主な症状
・咳

・運動すると疲れやすい（例：ボール遊びが好きだったのに最近遊ばなくなった、散歩で立ち止まることが多くなったなど）。

・呼吸の回数が多く、苦しそう。

・舌の色が白い、紫色。





以上が代表的な症状ですが、この病気の初期は症状がまったくないことも多く注意が必要です。





そのため、ワクチン接種や健康診断の際に心雑音が発見されたら追加検査として





1.胸部レントゲン検査

2.心臓エコー検査

3.心電図・血圧検査

4.血液検査（心臓病の早期発見マーカー）


を行って、早期に発見・診断をしていきます。






胸部レントゲン写真





説明用にラインを入れてみました。
赤ライン：大きくなった心臓の輪郭です。
青ライン：大きくなった心臓に押し上げられている気管です。







赤ライン：大きくなった心臓の輪郭です。














正常な胸部レントゲン写真で比較してみましょう。
心臓の大きさに違いがあると思います。




正常な胸部レントゲン写真










心臓エコー検査


青・赤・黄色・オレンジと色々な色が混ざり合ったシグナル（モザイク状）が観察できます。


このモザイク状のシグナルは血液の逆流を示しています。


エコー検査では僧帽弁が閉じないことで起こる血液の逆流を可視化できます。









この僧帽弁閉鎖不全症はＡＣＶＩＭ（米国獣医内科学会）によって診断・治療のガイドラインが作られていて、そのガイドラインに従って治療していきます。




症状がない早期に発見することで、その後の検査を定期的に行って、治療をスタートするタイミングを逃さないのが大切なのです。早期に治療をはじめることで肺水腫（はいすいしゅ）のリスクを減らすことができます。






〇治療方法

・内科治療


僧帽弁閉鎖不全症のステージごとに

1.血管拡張薬
2.強心薬
3.β遮断薬
4.利尿剤
5.その他の薬



などのお薬を組み合わせて、治療していきます。ただ、残念ながら内科治療で完治させることは難しく、原則、一生涯の服薬が必要です。完治には外科治療が必要です。当院では外科治療は行えないので、希望される場合は循環器専門医が在籍する動物病院をご紹介します。





・外科治療
循環器専門の病院で、その子の心臓の状態に適した手術を受ける。









早期に診断することで内科治療開始のタイミングをはかれ、継続して心臓の状態をモニタリングすることで薬の調整・循環器専門の病院へ紹介するタイミングもはかれます。








愛犬で心雑音があると言われたことがあったり、咳・疲れやすいといった症状がある場合はご相談ください。



また、1～3歳の若いうちに胸部レントゲン検査や心臓エコー検査を受けて『その子のデータ』を持っておくことをお勧めします。将来、何かの病気になってしまったときに比較することができます。







犬の心臓病で見られる主な症状

・咳

・運動すると疲れやすい（例：ボール遊びが好きだったのに最近遊ばなくなった、散歩で立ち止まることが多くなったなど）。

・呼吸の回数が多く、苦しそう。

・舌の色が白い、紫色。