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片浜どうぶつ病院症例ブログ

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最近話題の無麻酔での歯科処置の危険性について

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最近話題の無麻酔での歯科処置の危険性について



トイ・プードル ♂ 7歳





今まで、口腔ケアとして無麻酔での歯石除去(スケーリング)を定期的に行っていたけれども、歯科、口腔処置を希望して来院されました。






『無麻酔で歯石をとりましょう』といって歯科処置を行う施設があるようですが。ぱっと見、歯の表面はきれいになりますがこの処置には問題点があります。






問題点
①歯と歯肉の間のポケットのケアができない
歯周病になった場合、歯石をとるだけでは治療になりません。歯周ポケットの治療が最重要!!



②歯の表面の歯石はとれても、歯の裏側の処置はかなりむずかしい
わんちゃんは今、自分は歯の処置を受けているとは思いません。人間が歯医者さんで治療を受ける時のように、口を開け
続けることが出来るでしょうか?




③歯周病の進行が見逃されやすい
『表面的にはきれい』になりますが、ケアしきれない歯周ポケット、歯の裏側の歯石から歯周病は進行していきます。『表面的にはきれい』なので気づいたときには歯周病が進行していて手遅れということも…



④歯の表面に細かな傷ができる
歯科処置はスケーラーといって金属の器具を使って歯石をとります。その際に細かな傷が必ず歯の表面につきます。この小さな傷には新しい歯石が着きやすくなります。なので、歯科処置後はポリッシングといって歯の表面を滑らかにする処置を入念に行う必要があるのです。






それでは実際に口の中を見ていきましょう






左側の歯のようすです↑ 
『重度の歯周病』です。かなりの歯石が着いていますし、白~灰色に見えるところは歯垢です。歯肉がなくなり、本来は見えない歯の根っこが見えています。歯石があると歯垢が着きやすくなり、さらに歯石が増えていく悪循環に入ります。ここまで来ると、かなりの口臭です。










  

上の2枚は歯の裏側の写真です。黄色~茶色、やや黒色の部分はすべて歯石です。べったりと、くっついています。










↑歯石を少し取り除いた写真です。赤いマーカーの白い部分は、歯の根っこです。本来は赤いマーカ―は歯肉が覆いかぶさっており 歯の根っこは見えません。これだけ『くっきり』歯の根っこが見えることは、かなり重度な歯周病所見です。











↑左側の上アゴのレントゲン写真です。緑色のラインが本来あるべきアゴの骨のラインですが。この子のアゴの骨は赤色のラインです。歯周病が原因でアゴの骨が溶けてしまっています。歯周病が、かなり進行しています。歯周病をほうっておくとアゴの骨がどんどん溶けて、、、、




最悪の場合、アゴの骨が折れます。













↑上下の前歯のレントゲン写真です。前歯とくっついているアゴの骨は溶けており、前歯はグラグラしています。







このように、歯科専用のレントゲン写真をみると歯の根っこの状況を評価することができます。
残しておくと、口の中の環境を悪くする歯は『抜歯』することが必要です。









歯科処置後の写真ですemoji





右側の写真です。赤い矢印は犬歯の根っこを指しています。本来は歯肉でおおわれている部分です。歯周病が進行して歯肉と共にアゴの骨が溶けて、なくなっています。








 

左側の写真です。上の方のレントゲン写真でアゴの骨が溶けている所の歯を抜歯しました(赤矢印)。抜歯の後は、しっかりと縫合して穴をふさぎます。











前歯の写真です。上下共にグラグラで、歯周病が重度のため抜歯して、縫合しました(赤い矢印)。









まとめ
重度歯周病の歯は残しておくと、歯周病の進行を止めることができません。周りの歯を巻き込んで口の中全体に広がり、アゴの骨を溶かしていきます。





『無麻酔での歯科処置』は文字通り『見た目、キレイ』ですが根本的な解決にはなっていないのです。むしろ、歯周病を『悪化』させていると思います。無麻酔での歯科処置はお勧めしません。






歯周病の治療には適切な検査と処置が必要です。









口腔ケア、口臭、歯石、歯科処置について興味を持たれた方は当院にご相談ください。
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