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片浜どうぶつ病院症例ブログ

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『交通事故』『猫の横隔膜ヘルニア』治療とその経過について

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『交通事故』『猫の横隔膜ヘルニア』治療とその経過について



猫の横隔膜ヘルニア(ねこのおうかくまくヘルニア)






緊急で『交通事故』の子猫が運ばれてきました。ぐったりしており、呼吸困難で危険な状態でした。









十分に酸素を吸わせて、呼吸の状態を安定させた後に、胸のレントゲン検査を行いました。








赤く囲った部分が胸の中です
胸の中が真っ白です。








健康な猫の胸のレントゲン写真と見比べてみましょう。


健康な猫の胸部レントゲン写真↓↓








白いところをエコー検査で見てみると腸と肝臓だとわかりました。





腸や肝臓は本来、胸の中にはありません。お腹の中にあります。





お腹の中のものが胸の中にあるということは、、、





胸とお腹を区切っているものが壊れている  
という状態です。










この胸とお腹を区切っているものが何かというと
『横隔膜(おうかくまく)』という臓器です。








横隔膜は呼吸をするときに重要な臓器で、横隔膜がしっかりと働けないと呼吸ができません。





この子猫の場合は、横隔膜が交通事故の衝撃でやぶけてしまったのです。







横隔膜がやぶけることで呼吸がしにくくなり、そしてお腹の臓器が胸の中に入り込んで肺を圧迫してしまうため、さらに呼吸が苦しいという 大変、危険な状態でした。








〇治療方法

手術でやぶれている横隔膜をもとどおりにする。

・数日間の間、胸の中にドレーンチューブという管を設置して、胸にたまる液体、空気を抜く。











手術直後のレントゲン写真







胸の中に入れたドレンチューブに赤いラインを引きました↓↓








呼吸が楽になったからなのか、寝そべってくつろげるようになりました。








手術1か月後のレントゲン写真


かなり良くなっていますemoji











この子は手術で横隔膜を再建したあと、1週間ほどドレンチューブから胸にたまった液体や空気を抜いて、問題がなくなった時点でチューブを取り外しました。





その後は元気に走り回ったり、ジャンプしたり、猫じゃらしで遊んだりと健康な子猫と変わらないくらい回復しました。









交通事故は救命できないこともある緊急事態です。救命できて本当に良かったです。



交通量が多い地域では人も動物も十分に注意しましょう。
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